循環共生圏農工業・帯広ワークショップ

開催趣旨

 循環共生圏農工業では、持続可能な開発目標(SDGs)の視点から、土壌細菌や植物による土壌への炭素貯留、微生物による反芻家畜のメタン抑制など、生命を中心とした炭素循環による地球に易しい農工業について議論します。本ワークショップでは、微生物環境に関連する話題を中心に 「良い土壌」を評価するための定量的指標や数理モデルを議論すると共に、知的財産や倫理的課題についても言及します。

日時・場所

日時:2019年11月28日(木)9:30-15:00 (9:00受付開始)
場所:帯広畜産大学原虫病研究センターPKホール(〒080-0834 北海道帯広市稲田町西2線11)

主催

東京工業大学循環共生圏農工業研究推進体

プログラム

開会挨拶


西田武弘(帯広畜産大学)
開会挨拶

山村雅幸(東工大情報理工学院)
「東工大循環共生圏研究推進体紹介」

 地球温暖化問題の解決は地球上の全産業が取り組むべき課題である。2015年パリ協定以降金融界まで巻き込んだゲームチェンジが起こり、産業の枠を超えた連携の機運が高まっている。東京工業大学では、北海道十勝地方をモデルケースとして、生物、情報、システム・制御、物質・材料、環境・社会・経済など、ありとあらゆる理工学を総動員した総合的なアプローチにより、持続可能な農工業の観点から地球温暖化問題の解決をはかるべく、部局横断的組織として循環共生圏農工業研究推進体を設置した。研究推進体の理念、組織、活動について紹介する。

第1部
微生物と環境


和地正明(東工大生命理工学院)
「“よい土”とは何かを探る」

 肥えた土は匂いでわかるといいますが、その匂いは土壌微生物の代謝産物に由来します。根粒菌が豆科植物の根に寄生し窒素固定を担っていることはよく知られていますが、ある種の放線菌も土壌中で窒素固定を行い非豆科植物への窒素供給に大きく貢献しています。私たちはまず、土壌微生物のメタゲノム解析と土とそこに生育する植物体の成分分析により、“よい土”とは何かを明らかにします。その知見を基に、環境にやさしい土づくりを目指します。

山本直之(東工大生命理工学院)
「有用微生物の健康・畜産・環境への活用」

 今まで、環境やヒト腸内に生息する微生物から、ヒトの健康維持に有用な菌株をスクリーニングし、その実用利用をはかってきた。現在は、これらの技術をベースに家畜の健康維持や畜産分野に利用可能な微生物のスクリーニングについても研究を行っている。さらに、今後これらの技術を環境分野にも応用利用すべく準備をすすめている。今回、これらヒトの健康から畜産・環境分野における微生物活用の可能性に関して紹介したい。

西田暁史(早稲田大学先進理工学部)
「数理モデルを用いた微生物共生系の予測と制御」

 微生物共生系は土壌では元素循環の根幹を担うとともに、動物や植物の表面や体内にも生息しそれらの発育を支えている。この微生物共生系の挙動を予測・制御するには数理モデルが有効である。本講演ではメタゲノム解析による細菌叢データを基にした数理モデルを紹介するとともに、制御にどう有効なのかを述べる。また、多摩川流域の河川土壌から得られた細菌叢を材料として、どのような環境変化を加えれば細菌叢を制御しやすいのかを述べる。

第2部
環境問題への新技術の取り組みと知的財産および倫理的課題


柘植丈治(東工大物質理工学院)
「微生物産生バイオプラスチックの創成」

 微生物のなかには、ポリエステルを合成して細胞内に蓄積するものが存在する。このポリエステルは、微生物が飢餓時に分解してエネルギーに変換するためのものであるが、これを取り出して材料化すれば、環境中で生分解されるバイオプラスチックとして利用することができる。これは、使用後は堆肥としてリサイクルすることができ、また、海洋中でも分解されるため、マイクロプラスチックによる海洋汚染を解決する材料として注目されている。本講演では、微生物産生バイオプラスチックの開発状況について、我々の研究成果を含めて紹介する。

吉本護(東工大物質理工学院)
「環境発電用新材料創製と知財サイクル活性化」

 本講演では、環境発電用新材料創製をめざして、紫外光発電用候補材料として注目を集めている酸化ガリウム系p型半導体薄膜の創製や廃熱発電を目標とした酸化バナジウム系熱電素子の開発に関する研究について最新研究成果を紹介する。また、身近なプラスチック材料を対象とした表面ナノパターン化による新機能創発についても述べる。さらに、弁理士としての立場から、循環共生圏農工業システムの共同研究から創出される研究成果を社会実装するための特許・商標などの知財権利化のノウハウについても言及する。

小長谷明彦(東工大情報理工学院)
「分子ロボットの環境応用と倫理的課題」

 分子ロボティクスは生物と同様に生体分子から構成されているため、生体や環境への親和性は高いと考えられている。また、合成生物学で製造される遺伝子改変微生物のように自己増殖することもなく、また、突然変異による意図しない機能の獲得および損失を受けることもない。しかしながら、分子ロボットを農場を含む環境に放出することに関しては、未だ、十分な社会的コンセンサスが得られているとは言い難い。本講演では、分子ロボティクスについて概観すると共に、そのELSIについて言及する。

閉会の挨拶


閉会の挨拶

小長谷明彦(東京工業大学情報理工学院)

お問い合わせ

東京工業大学循環共生圏農工業研究推進体
TEL:045-924-5655

帯広畜産大学産学連携センター
TEL:0155-49-5786