恵泉女学園大学有機農場見学会

東京工業大学循環共生圏研究推進体は、2022年10月6日に恵泉女学園大学が所有する有機農場を見学しました。本農場は農薬や化学肥料を一切使っておらず、 2001年に教育機関として初めて有機JAS認証を取得しました。週に一回の授業時間(90分間)の手入れだけで維持されている「省力型有機農業」とも言えます。自然の力と地域資源を最大限に活用しています。

地域資源であり処分困難な竹を活用したコンポストが作られています(Fig.1)。マルチングとして使用され、役割を終えたら畑に鋤き込む程度で限りなく不耕起栽培に近いと言えます。

春から秋にかけて竹マルチを使用した里芋と生姜の混合栽培が行われます(Fig.2)。作物が雑草より大きくなってからは手入れ不要で、無理に雑草を処理することはありません。適度な雑草は地温の上がり過ぎを防ぎ、水を蓄える役割があります。

落ち葉を踏み込んで腐葉土を作ります(Fig.3)。米ぬか(Fig.4)を混ぜることで発酵が促進され、落ち葉を混ぜる“切り返し”作業が不要になります。発酵によって60~70℃まで温まる腐葉土を用いることで夏野菜にヒーターを使う必要がありません。

虫が付きやすいアブラナ科の間に害虫忌避効果があるキク科を配置します。また、畦に敷いた刈草は雑草を抑制し、益虫である蜘蛛の足場にもなります(Fig.5)。竹、米ぬか、刈草、牛糞(Fig.6)、鶏糞はすべて地域資源を利用しています。

恵泉女学園大学が実践する有機農業は、無農薬、無化学肥料だけでなく、水や人的労力を含めて投入する物質やエネルギーをできるだけ使わない「持続可能な農法」の確立を目指しています。

私たちは農薬や化学肥料を多用した慣行農業にとらわれているため、作物の収穫量や形状の美しさなど、目に見える量的な比較をしがちです。しかし、地下資源に依存し、土壌の生態系を破壊するような農業は長期的には成立しません。真に持続可能な農法はどうあるべきか。人と作物が自然の中で共生する「循環共生圏農工業」の研究が、今、始まろうとしています。